■この国のかたち〜小正月

小正月

1月15日を中心とする時期を小正月といい、この時期にどんど焼きや繭玉など様々な行事が行われる。いずれも農耕に関わる儀礼でこの時期に模擬的に農作業を行い、あるいは豊作の様子をつくることによって秋の実りを予祝するものといわれている。

●ドンド焼き

15日を中心に行われる小正月の火祭りでどんど焼き左義長と呼ばれる。正月に各家で飾った松飾りや、前年のお札などを集めて焼く。

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●繭玉

小さく切った餅や団子で繭の形を模したものを榎や柳などの枝に刺して飾り、農作物の豊かな実りを祈願する小正月の予祝行事の一つである。ところによっては赤、黄、緑色をつけたものもある。家の座敷の中央に一番大きな木を飾る。

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●ナマハゲ

 

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秋田県男鹿半島男鹿市)、および、その基部(山本郡三種町潟上市)の一部において見られる伝統的な民俗行事。またはその行事を執り行う者の様相を指す。200年以上の歴史を有する。男鹿市などの調査によると、2012~2015年において市内148地区のうち約80地区でナマハゲ行事がある。男鹿のナマハゲとして、国の重要無形民俗文化財に指定されている。異形の仮面をつけ、藁などで作った衣装をまとった「なまはげ」が、家々を巡って厄払いをしたり、怠け者を諭したりする。

 


なまはげ」は怠惰や不和などの悪事を諌め、災いを祓いにやってくる来訪神である。かつては小正月の行事だったが大晦日の行事となり、年の終わりに、大きな出刃包丁を持ち、鬼の面、ケラミノ、ハバキをまとって、なまはげに扮した村人が家々を訪れ「泣ぐ子(ゴ)は居ねがー」「悪い子(ゴ)は居ねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者や子供、初嫁を探して暴れる。家人は正装をして丁重にこれを出迎え、主人が今年1年の家族のしでかした日常の悪事を釈明するなどした後に酒などをふるまって、送り帰すとされている。

なまはげは伝統的民俗行事であるとともに、東北地方においては幼児に対する教育の手段として理解されている。親は幼児に対し予めなまはげによる強い恐怖体験を記憶させ、そのあと幼児に対し望ましくないとみなされる行為を行った場合、その恐怖体験が再現される可能性を言語的手段によって理解させる。一方で幼児期における恐怖体験は精神的な不安定状態を生み出し、恐怖体験による後遺症を残すこともあり、幼児期における教育的効果には疑問である。発達段階に則したナマハゲ文化の継承が必要であると考える。

 

 

 

●薮入り

 


藪入り(やぶいり)、薮入りとは、かつて商家などに住み込み奉公していた丁稚や女中など奉公人が実家へと帰ることのできた休日。奉公人にとっては親元に帰れるこの藪入りの日を心待ちにする。奉公に出した親も我が子の帰りを今かと待つ。落語でもお馴染みの「藪入り」は親子の情を感ずる大切な日なのである。